花田智昭

Tomoaki Hanada
「守らなならんこと」

 命を燃やし尽くすようにセミが鳴く中、奴山(ぬやま)にある縫殿神社(ぬいどの)で土用籠と風止め祭(どようごもり・かぜどめさい)(※)が執り行なわれました。福津市の北側に位置し、畑の中に40を超える古墳が分布する奴山。ここには、建立から1700年もの時が経った縫殿神社があります。この神社の伝統行事を守り続ける一人、花田智昭さん。彼は、奴山で生まれ育ち、幼い頃からおばあさんに連れられ、御籠に参加していました。豊穣な秋を迎えるため、稲作の節目に御籠や祭典を行います。農家以外も多くなった現在でも、神事の後、お宮で食事をしながら集落の人との懇親を深めます。

失くしてしまった風景や風習は、枚挙にいとまがありません。しかし、智昭さんは力を込めて言います。「これだけは守らなならん」。約300年続く伝統行事を守ることは、理屈を越え「奴山人の義務」となっています。
義務を負う男の背中は力強く、口元は綻びます。「御籠ちゃ、昔から楽しみやもんね」。守ることの根底には「楽しさ」があり、だからこそ受け継いできたものを次世代に伝えていくのだと感じました。


※縫殿神社:応神天皇の頃に、呉の国から四名の姫が織物、縫物の進んだ技術を日本に伝える為に招かれる。この中の兄媛は宗像神の求めでこの地に残り、中国の高度な染色、機織り、裁縫の技術を広めたと言われる。(入り口にあった説明文より)縫殿神社では、この4名の姫と応神天皇等が祀られている。
※土用籠:夏の土用(7月28日頃)に畑作業を休み、(土の気が盛んになるとして、動土・穴掘り等の作業を避ける習慣がある)お宮で栄養価が高いものを集落の人と一緒に食べて力を蓄えること。
※風止め祭:台風が発生しやすい時期(8月28日頃)に、風で稲が倒れてしまわないことを祈祷する祭典。




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花田智昭
奴山で米と野菜を作る農家。
「質の高いものを作り、消費者に届けたい」という信念の基、自家製の肥料作りや無農薬米の栽培に取り組む。イタリア人のシルビオさん、愛さん夫妻と共にイタリア野菜の栽培 も行う。


縫殿神社で行われた土用籠と風止め祭の様子


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