廣島緑

midori hiroshima
「食卓から伝わっていくもの」

「今までで一番嬉しかったことはね」広島緑さんは、恥ずかしさと誇らしさが入り混じったような表情で話し始めました。「娘が中学生の時、クラスメイトが言ったらしいの。「あんたんとこの弁当が食べたい」て。もー、私嬉しくてね」。

緑さんは、福津市の北側にある勝浦(かつうら)という地域で米と野菜を栽培する農家。畑で採れる野菜を余すことなくいろんな料理に変え、食卓に並べます。お弁当もその延長線上。残り物のおかずに一手間かけたものなど、手作りの品を弁当に詰めて3人の娘さんに持たせていました。緑さんにとっては当たり前のことでしたが、冷凍食品が詰められたお弁当も少なくなかったようです。

 緑さんが大切にしていることは、同じ食材や料理を工夫していろんな料理にしていくこと。例えば、ポテトサラダを作ったら、1日目はそのままサラダに。2日目は開いたいわしにポテトサラダを包み、揚げ物にする。「また同じー」とひんしゅくを買うことなく、畑で採れる旬のものを家族に美味しく食べてもらうことができます。これは、緑さんが子や孫に伝えていきたいことでもあります。

 3人の娘さんは家庭を持ち、緑さんと同じように家族の食事を作ります。「今日はこんな料理を作ったよ」。娘さんたちから写真とメールが送られてくることがあるそうです。こんな時、緑さんは嬉しさを噛みしめます。「ちゃんと伝わっている」。  「料理をすることは、特別なことではないのよ。単純に好きなの」。こんな緑さんの姿勢は、「教える」や「伝える」という形を取らずとも、娘さんの生活の一部となり受け継がれているのだと感じました。



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廣島緑
勝浦で米と野菜を作る農家。
栄養士でもある緑さんは、お年寄りの栄養指導や料理教室の先生としても活動していた。
11年続けた料理教室のレシピが季節ごとにまとめられており、時々見返して旬の野菜をたくさんの料理に変えている。


水イモの下処理作業。皮を剥いて水に浸す。

自宅の裏側にある畑からの帰り道

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