かつては黄色い絨毯(じゅうたん)を敷きつめたように菜の花が咲き広がっていた勝浦平野。弓張型につづく白い砂浜と、青々とした松林の海岸線からほど近い、のどかな農村に生を受けた荻原さんはこの地で暮らして60余年になります。

 

収穫したばかりのレタスは瑞々しい。

 

退職後に農業を始め、いまではブロッコリー、レタス、セロリなどを中心に出荷し、自家用としてキュウリやナス、落花生など数々の野菜を育てています。
幼いころから、ほとんどの物を自給自足するという暮らしの中で育ったため、農業をいつも身近な存在として感じてきたそうです。
「農業はきらいじゃないんですよ。やっぱり作る楽しみというのがあるんですよね」
やわらかな物言いに、荻原さんの人柄の良さがにじみます。

朝食に、畑からナスを2~3本とってきて“塩もみ”して食べる。そんな日常を「ある意味、贅沢だと思う」と荻原さん。例えば、畑で育てたゴマを干して、すりゴマにして味わうと「こげんおいしいもん?」と感動するくらい、市販のものとは風味がまるで違うそう。手間と時間をかけたぶん、自家用のものは美味しさで応えてくれるようです。

 

落花生は、読んで字のごとく不思議な植物。

 

作ったものを味わう楽しみは、庭や畑のないお宅でも体験できること。薬味として欠かせないネギは、ポット栽培で簡単に育ちます。
「できたネギをみそ汁に入れて、美味しくいただく。そんな生活を皆さんにしていただきたい」
落花生の収穫体験も、農を日常にとり入れるきっかけ作りになればと考え、始めました。
「落花生はどうしてできるんだろう」から始まり、汗をかきながらの収穫・選別作業、獲れたてを“塩ゆで”にして食したときの感動。そういった話題が、家族で囲む食卓にもあふれたら最高ですね。

荻原哲夫さん

『あんずの里市』副組合長として農業に関わるかたわら、勝浦の秋祭りに欠かせない大名行列の保存会会長を務めるなど、勝浦地区の活性化に力を注いでいる。大名行列の参加者(男性)を募集中。


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