桑野由美

Yumi Kuwano
「助け、助けられる関係」

「「どこ行きようと?」と声をかけることが、「こんにちは」と挨拶することと同じだとわかった時は目から鱗やったよ」。
「どこ行きようと?」「ちょっとそこまで」「気を付けていってらっしゃい」。この短い会話をするために地元の方は、行き先を聞く気など毛頭なく、「どこ行きようと?」と話しかける。市外から農家に嫁いだ桑野由美さんは、そんな田舎ならではのコミュニケーションに戸惑いながらも、理解し受け入れていくことをいくつも体験してきました。

 桑野さんは、福津市南部に位置する本木(もとぎ)で米とキャベツ、いちごの栽培を行う専業農家。「農業は楽しい」とよく言葉にする桑野さんですが、結婚後10年間は悩むことも多かったそうです。最も困惑したことは「周囲の人からの目」。一消費者だった桑野さんは、消費者として知りたかったことを生産者として伝えようと試みたり、人との交流のために市外に出掛けたりしていました。すると、「農家の嫁としてあるまじき姿」として周囲に噂されます。そんな時、近所に住む桑野さんの母親世代の女性が言いました。「これからは田舎の女性も自分のしたいことをできんといけん。あんたが出やすいごと、私が矢面に立つけん」。桑野さんは自身の信じる道を貫くことを決めました。

 「人の目があることの煩わしさを感じることはある。でも、子育ての時とか、近所の方の力を借りないとどうにもならなかった。」。一度は苦しみもした田舎ならではの人との関わりですが、乗り越えた今、その良さと有難みを感じ、この関わりを残していきたいと思っています。
「今では、応援したり、支えてくれる人がたくさんおるよ」桑野さんが貫く道は、暮らす場所や職種にかかわらず、次世代の女性がその人らしく生きる道へと続いていると感じました。




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桑野由美
福津市本木で農業を営む専業農家。
好奇心が旺盛で、畑の周辺で毎日新しいことを発見する少女のような心の持ち主。
消費者と顔の見える関係を築くため、直接販売のみを行いつつ、幼稚園でのペットボトル稲の栽培など食べ物のことや農業の楽しさを伝えている。


いちごのハウスから見える風景。

稲刈りをする桑野さんの御主人。あっという間に刈られていきます。

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