「父は、朝食の準備と二人分の弁当を作って、6時半に出勤してたんです。辛い顔なんて全く見せずに」。お父さんの背中を見て育った古賀広宣さんは、どんなに多忙でも、笑顔と前向きな言葉を出会う人に向けています。
古賀さんは、福津市の南側、花見が浜にある地元の食材を使った鉄板焼の店「となりのグリル」のオーナー。2010年10月10日「ジュージュー」の日にオープンし、今年で4年目を迎えます。古賀さんが飲食分野に足を踏み入れたのは、大学生時に焼肉屋でアルバイトをしたのがきっかけ。税理士になるために専門学校にも通っていましたが、お店の常連客からの一言が転機となりました。「たった一度の人生、他人の金を勘定して生きていきたいのか」。
大学卒業後、精肉や飲食業を行う会社に就職。飲食店の立ち上げを次々と行い、めきめきと力を付けていきました。6年後には独立し、既存店の経営改革を経て、「となりのグリル」を開店。「自分のお金を勘定する人生」がスタートしました。
農家さんや漁師さんとよく話す機会があり、その度に古賀さんはこう思います。「あぁ、こんなに素晴らしい人達にもっと光が当てられたらいいのに」。出逢った方が持つ情熱や技術、知恵が生かされる舞台を作ることが古賀さんのやりたいことであり、喜びでもあります。その思いを実現すべく、今秋には、手仕事や料理等の特技を持つ方を講師として招いた教室を始める予定とのこと。生き生きと話す講師の姿を、嬉しそうに眺める古賀さんの姿が目に浮かびます。
古賀広宣 (こが ひろのぶ)
北九州市八幡西区出身。飲食店の新規開業アドバイザーや野菜ソムリエの活動、温泉ソムリエ等多岐に渡って活動する。